投資信託の未収分配金
1 未収分配金とは
相続財産に投資信託が含まれている場合には、投資信託の評価を行い、相続税申告を行うこととなります。
その際、申告漏れになりがちなのが、未収分配金です。
投資信託には、定期的に分配金が発生するものと、分配金が発生しないものがあります。
定期的に分配金が発生するものについては、決算期までの運用収益等のうち、一定額を分配金として入金する仕組みになっています。
いくらの分配金が入金されるかは、運用収益によって変動することとなっています。
分配金は、決算期の時点で投資信託を保有していると、受け取る権利が発生することとなります。
ただ、決算期が到来してから、実際に分配金が入金されるまで、1週間程度の期間が空きます。
このため、被相続人が決算期の到来直後に亡くなった場合には、被相続人が受け取る権利を持っている分配金が、被相続人の口座に入金されていないといったことが起こります。
このような、被相続人が受け取る権利を持っているものの、被相続人の口座に入金されていない分配金を、未収分配金といいます。
2 未収分配金も相続税の課税対象になる
未収分配金も、被相続人が受け取る権利を持っていた以上、相続税の課税対象になります。
分配金については、個々の投資信託で決算期がばらばらであり、振込がされる日もばらばらですので、どれが未収分配金として相続税の課税対象になるか、1つ1つチェックを行う必要があります。
それでは、未収分配金になるかどうかは、どのようにチェックをすればよいのでしょうか。
まず、被相続人が亡くなる前に決算期が到来しているかどうかを確認します。
決算期については、投信総合検索ライブラリーのホームページの、運用報告書で確認することがきます。
次に、分配金が入金済みであり、すでに預金の残高等で折り込み済みか、分配金が未入金であり、別途、未収分配金として申告書に記載しなければならないかを確認する必要があります。
この点については、通帳の記載等で確認することができるかと思います。
なお、証券会社によっては、残高証明書に未収分配金の金額も記載してくれることもあります。
3 MRFとMMF
投資信託には、MRF、MMFと呼ばれるものがあります。
証券会社で取引を行うと、配当等がMRF、MMFに再投資されていることも多く、残高報告書等でも目にすることが多いです。
MRF、MMFについても、相続税評価を行うにあたり、未収分配金を考慮しなければならないこととなっています。
もっとも、MRFについては、昨今の超低金利から、分配金が発生することは基本的にありません。
これに対して、MMFについては、分配金が発生することがありますので、未収分配金の有無を確認する必要があります。
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