住宅ローン控除を受けるための確定申告
1 住宅ローン控除とは
住宅を新築し、住宅ローンを組んだり、中古住宅を購入し、住宅ローンを組んだりした場合には、所得税が軽減されることがあります。
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行う必要があるため、手間に感じてしまうかもしれませんが、住宅ローン控除を受けると、住宅ローンの年末残高の0・7%について、13年間、所得税額が減額されることとなります。
住宅ローン控除は、所得税の軽減措置としては、強力なものですので、利用できる場合には、利用していきたい制度だと思います。
ここでは、住宅ローン控除の制度について、説明していきたいと思います。
2 要件
住宅ローン控除については、令和5年から適用要件の変更がなされています。
従前は、省エネ性能の程度を問わず、住宅ローン控除を利用できることができましたが、令和5年からは、一定の省エネ性能を備えた住宅に限り、住宅ローン控除が使えることとなりました。
この点については、4で説明したいと思いますので、ここでは、それ以外の要件について説明したいと思います。
① 居住の要件
住宅の引渡または工事完了の日から6か月以内に居住を開始すること
住宅ローン控除の適用を受ける年末に居住していること
② 所得金額の要件
住宅ローン控除の適用を受ける年の合計所得金額が2000万円以下であること
③ 家屋の床面積の要件
住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上を居住用に用いていること
④ ローンの期間の要件
10年以上に渡るローンであること
⑤ 一定の特例を利用していないこと
住宅ローン控除の適用を受ける前々年、住宅ローン控除の適用を受ける前年、住宅ローン控除の適用を受ける年、住宅ローン控除の適用を受けた翌年、住宅ローン控除の翌々年の所得についての確定申告において、居住用不動産の譲渡所得を軽減する一定の特例の適用を受けていないことです。
具体例として、以下の特例の適用を受けていないことが要件になります。
・ 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
不動産を譲渡した場合には、譲渡対価について、譲渡所得の課税がなされ、税率は、譲渡の年の1月1日時点で10年超所有している不動産である場合は、15%になります。しかし、居住用不動産を譲渡した場合には、6000万円までは、確定申告を行うことにより、譲渡所得の税率が10%になります。
上記の譲渡所得の税率を軽減する特例の適用を受けた場合には、一定期間、住宅ローン控除の適用を受けることができません。
・ 居住用財産の譲渡所得の特別控除
居住用不動産を譲渡した場合には、3000万円までは、確定申告を行うことにより、譲渡所得が非課税になります。
しかし、3000万円控除の適用を受けた場合には、一定期間、住宅ローン控除の適用を受けることができないこととなります。
・ 特定の居住用財産の買換特例
居住用不動産を買い換えた場合には、確定申告を行うことにより、買い換えた居住用不動産を売却するまで、譲渡所得に対する課税を繰り延べることができます。
4 税額控除の額
税額控除の額は、住宅の種類によって異なってきます。
具体的には、以下のとおりです。
・ 長期優良住宅、低炭素住宅
以下のいずれか低い金額
年末時点の住宅ローン残高の0・7%
31・5万円
・ ZEH水準省エネ住宅
以下のいずれか低い金額
年末時点の住宅ローン残高の0・7%
24・5万円
・ 省エネ基準適合住宅
年末時点の住宅ローン残高の0・7%
21万円
毎年の確定申告で(給与所得の2年目以降は年末調整)で、上記の金額を計算し、税額控除の額が決まることとなります。
住宅ローン控除を受けることができるのは、最大13年間です。
また、上記のとおり、一定の省エネ性能を有した住宅でなければ、住宅ローン控除の適用を受けることはできないこととなっています。
いずれの場合も、自治体や建築士の認定を受け、確定申告時に証明書を添付する必要があります。
ハウスメーカーと協議し、証明書の手配を行うことが多いと思います。
5 住宅ローン控除を受けるための手続
確定申告を行い、特別控除申告書を提出しなければ、住宅ローン控除の適用を受けることができません。
この場合には、住宅ローンの年末残高の証明書(毎年の確定申告で提出)、省エネ性能を証明する証明書(初年度の確定申告で提出)等も提出する必要があります。
給与所得の場合は、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は、年末調整で住宅ローンの年末残高証明書を提出し、住宅ローン控除の適用を受けることとしておけば、確定申告は不要となります。